
パートナー代表の高橋俊哉です。皐月、5月となりました。今日2日は朝から雨模様ですが、晴れた朝、気持も軽く出歩いてみると、新緑の季節、若葉が目に沁みるようです。皆さま、是非お散歩など楽しんでくださいませ。
さて、唐突ですがこのところある武将の名前が浮かんでは消え、浮かんでは消えしておりました。今現在の世情、政情はなんとも不安定、物価高は解消されずお米はかえって値上がりしているありさまだし、トランプ問題は朝令暮改の連続でウンザリ感満載ですし、多国間での戦争は続いているし、不運にも大穴に落ち込んでしまったトラックドライバーの方は3か月以上たってようやくご遺体が見つかったとの報道があったりしています。こんなとき、絶対的なスーパースターが国のリーダーだったらなあ、などと空想していたら、あの武将の名前が浮かび上がってきたのです。ご案内の方もあると思いますが、昨年話題となった映画化された小説の題名が記憶に引っかかっていたようです。それは『もしも徳川家康が総理大臣になったら』。カウンセラー高橋は内容を把握していなかったのですが、これは眞邊明人さんによるSF的ビジネス小説なのです。2021年に刊行されていて、内閣総理大臣が新型コロナウィルスに感染して死亡したため、政府がAIとホログラムを使って歴史上の偉人たちを復活させ、徳川家康を内閣総理大臣とした最強内閣を組閣するという奇想天外な物語なのです。略称は「もし徳」。 昨2024年7月に映画化され公開されています。改めて、歴史上の人物で誰が総理大臣になってほしいか、と考えてみると、徳川家康一択だと納得しました。そんなことをつらつら考えていたので、あまりに有名で恐縮ですが、今日はその家康の遺訓をご紹介したいと思います。
人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し 急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし 心に望み起こらば 困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基 怒りは敵と思え。
勝つことばかり知りて 負くること知らざれば害その身にいたる。
おのれを責めて人を責むるな。
及ばざるは過ぎたるに勝れり。
文意は概ね以下の通りとなります。
人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。
不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。
心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。
がまんすることが、無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思いなさい。
勝つことばかり知って、負けを知らないことは危険である。
自分の行動について反省し、人の責任を責めてはいけない。
足りないことのほうが、やり過ぎてしまっていることよりは優れている。
戦乱の世を治めた、さすがは天下人の遺訓だと思います。いまさらながら名文ですね!
皆さんは家康というと、どんなことを思い出すでしょうか。次の言葉を思い浮かべた方もいるでしょう。
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス
織田がつき 羽柴がこねし天下餅 座りしままに 食ふは徳川
徳川家康は織田信長、豊臣秀吉に仕え、秀吉の亡き後、天下分け目の関ヶ原の戦いで石田三成率いる西軍を破り、天下をその手中に収めました。京の都から遠く離れた江戸に幕府を開き、以後、約260年にわたる天下泰平の世の礎を築きます。しかし、徳川家康の生涯は他の戦国武将と同様、波瀾万丈で決して順風満帆ではなかったようです。その辺の経緯は大河ドラマなどで繰返し描かれていますね。艱難辛苦を味わった家康が辿り着いた心境が「遺訓」に反映されているのだと思います。
遺訓をじっくり読み込むと、いくつかキーワードが浮かんできました。「あせらず」「欲張らず」「めげず」「怒らず」「謙虚に」「人を責めず」、そして「知足」。
婚活でも人生でも、いい時もあれば、厳しく辛い時もあります。しかし、この世はすべからく無常であり、変化するもの。いい時も悪い時もその状態がずっと続くわけではなく、変化していきます。その場その時に一喜一憂するのではなく、いかに平常心を保っていられるかが大切なのだ、と家康は教えてくれているようです。
家康のこの教えは仏教の智慧もしっかりと感得されていて、今の時代にも十分に通用するものだと感じます。「あせらず」「欲張らず」「めげず」「怒らず」「謙虚に」「人を責めず」「知足」。好調時は油断することなく、不調時は必要以上に落ち込むことなく、泰然自若として時期を待つ。地に足つけて歩を進めることの大切さを家康は教訓として遺してくれているのです。
厳しく、世知辛く、忙しなく、時に切ない人生や婚活に十二分に資する教えであり構えなのです。