パートナー代表の高橋俊哉です。台風一過、千葉県、茨城県、福島県の皆さまにはお見舞い申し上げます。9月9日は重陽(ちょうよう)の節句。平安時代初めに中国から伝わったとされています。家族の無病息災や子孫繁栄、不老長寿を願い、祝いの宴を開いたことが起源となっています。中国では、奇数は縁起の良い『陽の日』とされ、奇数の重なる日を祝いの日と考えられました。陽の日の最大値である『9』が重なる日を『重陽』と呼び、節句の1つにしたといわれています。一方では、陽数が重なると災いが起こりやすく不吉だとも考えられており、よくないことが起きないように邪気を払う風習が根付いたともいわれています。現在は桃の節句、端午の節句など子どもに関わる節句が広く祝い行事として親しまれていますが、重陽の節句はなじみが薄くなってしまっていますね。お祝い事として祝われることは少なくなってきていますが、他の節句と同様、命を尊び、健やかな日々を過ごすことを願う大切な日といえるでしょう。現在の中国については日本人にとっていろいろ不愉快なことも起こっていて、苦々しい想いをお持ちの方も多いと思います。が、かつては文化的、宗教的な先進国であり多くの事を学んできた師匠にもあたる国であることもまた事実です。今日は、六然訓(りくぜんくん)について書いてみたいと思います。これは明時代の学者であった崔後渠(さいこうきょ)が獄中で相まみえた王陽明に語った六つの教えだといわれています。

1.自処超然(じしょちょうぜん):自分自身は何事にも執着せず平然と構え、自分自身の問題には一切捉われない。これは、自分のことを突き放して眺め客観視することで、感情的な思考や独善的な思考を避けることができ、より適切な言動ができるようになるということだと考えます。婚活でも先ずは自身のことを客観的に眺めてみて、お相手が自分の事を好きになってくれるかどうかを考えるところからスタートします。

2.処人藹然(しょじんあいぜん):人と接するときは穏やかに、柔らかな気持ちで。これは他者とコミュニケーションを取るときの構えです。「人」という文字と、和気藹藹(わきあいあい)の「あい」の文字が入っています。人と接するときは、穏やかな気分を保ちなさい、相手の心持を考えてあげて心地よくしてあげなさい、という意味です。婚活でも、お見合いやデートに臨む際の基本ですね。

3.有事斬然(ゆうじざんぜん):何か事があるときにはグズグズしないで一気呵成にやること。これは自身の行動に関することです。何か事があるときは、グズグズしないでキビキビやるということです。もし想定に反することが起れば、すぐにそれまでの態度を改め行動をしよう、ということになります。婚活でも交際が続いて具体的なことに踏み込んでいくような段階では、お住まいのこと、お仕事のこと、ご家族のことなどについてお互いにきちんと状況を確認していくことになります。よしっと前に進むか、話がどうも違うな、とやめてしまうかの決断・行動を速やかに選択することになります。

4.無事澄然(ぶじちょうぜん):何もことが無いときは水のように澄んだ気持ちでいること。これは、平時における心の持ち持ちようをどう構えるかということです。何も問題がないときは、雑念が湧かず、透明な水のように澄んだ気持ちを保ち融通無碍に動くことができるというわけです。何も問題がないときは、あれこれ悩んだり考える必要がないので、心が集中しやすい状態にあり、その状態を最大限生かして前に向かえます。婚活でもお相手のこと、成婚後の結婚生活などを心静かにイメージしてみることも大切です。

5.得意澹然(とくいたんぜん):物事がうまくいって得意な気分のときは努めて淡々としておれということ。これは、「得意」における心の持ち方のことをいっています。得意になったときほど、驕らずに淡々とした態度でいなさい、ということ。自分が良い状態であることは他人からは嫉妬されやすい状態だともいえますね。人は得意になると、感情が高ぶり、想いを表出したくなります。そんなときほど、努めて淡々とした態度でいた方がいい、そうすれば、足元をすくわれることがなくなるのです。婚活でも思いがけず素敵なお相手とお見合いが成立した場合、お見合いの席でついつい自慢話などが長くなりNGを食らうこともあります。

6.失意泰然(しついたいぜん):失意のときはうろたえ、呆然となりがちだが、逆にゆったりと落ち着いた構えをするということ。これは、「失意」における心の持ち方についてです。失意のときも、泰然自若としていなさい、という意味です。失敗、失望したときでも、心を落ち着けて、動じないようにしてしていれば、それまで見えていなかったことにも気づき、死地を脱することもできるわけです。意気消沈しないよう努めよ、ということです。婚活でもお相手があることであり、お見合いでもデートでも上手くいかないことも多々あります。そんなときこそクールヘッドで居られるかどうかが次に繋がるかどうかの鍵となるのです。

この六然訓は、歴代の首相の指南役でもあった陽明学者の安岡正篤が座右の銘としていることで知られ、勝海舟も信奉し、海舟自身の書による掛け軸が東京のホテルオークラの隣にある大倉集古館に今も残っているそうです。漢字、読み方は難しいのですが、考え方は心にすっと染みてきますね。