パートナー代表の髙橋俊哉です。

11月に入り、日数が重なっています。今年は秋の風情たっぷりですね。ただ、日によって結構寒暖差もあります。特に夜は暖かくしてお休みください。じっくりと深く自身を内観し、心静かに心の中を見つめてみるのにはとても良い季節となっています。また、古典や良書から学ぶことの素晴らしさも実感できる時候ですね。今日は皆さまの新たな気づきになればという想いで書いてみます。

私たちは毎日の暮らしの中で、実に多くの人と出会っています。家族、友人、職場の仲間、近所の方、仕事を通じて知り合う方。そして、これから出会うかもしれない、まだ見ぬ誰か。

その中には、自分と考え方や価値観がよく似ていて、話していて安心できる人もいれば、どうも感覚が違う、何を考えているのか分からない、少し苦手だなと感じる人もいます。

婚活でも同じです。プロフィールを見て、趣味や考え方が自分と違うと感じたり、年齢や生活環境、これまでの人生経験に大きな隔たりがあるように思えたりすることがあります。会う前から「自分とは合わないだろう」と判断してしまうこともあるかもしれません。

もちろん、相性や価値観は大切です。無理に誰とでも仲良くなる必要はありませんし、自分にとって大切なものを曲げる必要もありません。

ただ、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。

私たちは、相手のことを本当に知る前に、自分の物差しで判断してしまってはいないでしょうか。

今回は、D・H・ロレンスの詩「蛇」と、この詩について植島啓司さんの著書『きみと地球を幸せにする方法』で取り上げられている「歓待すること」という視点から、人生や婚活における出会いについて考えてみたいと思います。

蛇が水を飲みにやってきた

D・H・ロレンスの詩「蛇」は、ある暑い日の出来事を描いています。

詩の語り手が水を汲もうと水場に行くと、そこには一匹の蛇が先に来て、水を飲んでいました。

蛇は静かに水を飲んでいます。語り手は、その様子を少し離れて眺めながら、自分の順番を待ちます。

ところが、蛇を見つめるうちに、語り手の心には二つの声が生まれます。

一つは、教育や常識から聞こえてくる声です。蛇は危険な生き物だから、追い払うべきだ、場合によっては殺すべきだという声です。

もう一つは、目の前の蛇を見ている自分自身の感覚です。

蛇はただ水を飲みに来ただけではないか。静かにそこにいて、何も悪いことをしていないではないか。むしろ、こんなところまでやって来て、自分の水場で水を飲んでいることを、ありがたいことのように感じている自分がいる。

語り手は、蛇を客人のように感じ、そこに不思議な敬意を抱きます。

しかし、蛇が水を飲み終えて帰ろうとしたとき、語り手は木片を投げつけ、蛇を驚かせてしまいます。蛇は慌てて姿を消しました。

その直後、語り手は自分の行動を悔やみます。なぜ、あのまま静かに見送ることができなかったのだろう。せっかく訪れてくれた、珍しい存在との出会いを、自分から壊してしまったのではないか。

詩の最後には、蛇を追い払ってしまったことへの後悔が残ります。

この詩を読んで、私は、私たちの日常にも似たようなことがあるのではないかと思いました。

自分とは違うもの、異質のものに出会ったとき、私たちはどうするでしょうか。

相手をよく知ろうとする前に、怖がったり、遠ざけたり、否定したりしてはいないでしょうか。

「歓待する」ということ

植島啓司さんは、『きみと地球を幸せにする方法』の中で、人間の幸せを考える手がかりとして、贈与、シェア、共感、そして「歓待すること」を取り上げています。

歓待という言葉は、少し聞き慣れないかもしれません。

簡単にいえば、訪れてきた人を客人として迎え入れることです。相手を自分の都合や価値観だけで判断せず、まずはそこにいる存在として受け止める。自分とは異なる人や、自分の知らない世界から来た人に対して、扉を開いてみることです。

ロレンスの詩に登場する蛇は、語り手にとって、まさに未知の訪問者でした。

見慣れない姿をしている。危険かもしれない。自分とはまったく異なる生き方をしている。それでも、目の前の蛇は、ただ水を飲みに来ている。

語り手は、その蛇を客人のように感じ、そこに出会いの喜びを見いだします。

ここで大切なのは、蛇を好きにならなければならないということではありません。蛇の危険性を無視しなければならないということでもありません。

自分の中にある恐れや先入観に気づきながら、目の前にいる存在を、もう一度よく見てみることなのだと思います。

私たちは、自分の知っている世界を基準にして、物事を判断しがちです。自分の経験に照らして、これはよい、これは悪い、これは好き、これは苦手と分類します。

それは、日常生活を送るうえで必要な働きでもあります。しかし、その判断が早すぎると、せっかくの出会いの可能性まで閉じてしまうことがあります。

歓待するとは、相手を自分と同じ人に変えることではありません。自分とは違う存在が、自分の前に現れたことを、まず受け止めてみることではないでしょうか。

自分と違う人に、会ってみる

このことは、婚活にも大いに関係していると思います。

結婚相手を探すとき、私たちはどうしても条件や共通点に目を向けます。

年齢、住んでいる場所、仕事、収入、学歴、趣味、休日の過ごし方、食べ物の好み、価値観。もちろん、結婚生活を考えれば、どれも大切な要素です。

しかし、条件が似ていることと、実際に一緒にいて心地よいことは、必ずしも同じではありません。

反対に、プロフィールを見た段階では、自分とはかなり異なると感じた方でも、実際に会ってみると、思いがけない魅力に気づくことがあります。

話してみたら、思っていたより穏やかな方だった。自分にはない経験をたくさん持っていた。考え方は違うけれど、その違いを聞いているうちに面白くなってきた。最初は少し緊張したけれど、帰るころには、もう一度話してみたいと思っていた。

そんなこともあります。

プロフィールは、その方の人生の一部を文字や写真にしたものです。そこに書かれている情報だけで、その人のすべてを理解することはできません。

会ってみて初めて分かる表情や声の調子、話し方、相手への気遣い、ちょっとしたユーモア。文章には表れない、その方らしさがあります。

そして、自分とは異なる経験や考え方に触れることで、自分自身の世界が少し広がることもあります。

婚活では、どうしても「自分に合う人かどうか」という視点が中心になります。

それは当然のことです。

けれども、もう一つ、「この人はどんな世界を持っているのだろう」という好奇心を持ってみてはいかがでしょうか。

自分と似ているところを探すだけでなく、違うところにも目を向けてみる。

違いを、すぐに不一致と決めつけるのではなく、相手を知るための入り口にしてみる。

そこから、新しいご縁が始まることもあると思います。

違いは、壁ではなく窓になる

私たちは、安心できるものを好みます。

自分と同じ考え方をする人、自分の話を理解してくれる人、自分の価値観に共感してくれる人。そうした人と一緒にいると、気持ちが楽になります。

一方で、自分とは異なる考え方をする人と接すると、戸惑ったり、反発したりすることがあります。

けれども、少し考えてみれば、私たち自身も、誰かから見れば「異質な存在」なのかもしれません。

自分では普通だと思っていることが、相手にとっては不思議なことかもしれない。自分が大切にしている価値観が、相手には理解しにくいこともあるでしょう。

それでも、互いに話を聞き、相手の背景を知ろうとすると、少しずつ見え方が変わってきます。

違いは、必ずしも二人を隔てる壁ではありません。相手の世界を知るための窓になることもあるのです。

結婚生活も、同じではないでしょうか。

育った家庭も、仕事も、趣味も、生活習慣も、考え方も違う二人が、一緒に暮らしていく。最初から何もかも一致しているわけではありません。

むしろ、違いがあるからこそ、相手から学べることがあります。自分一人では気づかなかった考え方や楽しみを知ることもできます。

大切なのは、相手を自分の型にはめようとしないこと。そして、自分も相手の型にはまろうと無理をしないことです。

互いの違いを認めながら、二人にとって心地よい関係を少しずつつくっていく。

それが、長く一緒に歩いていくための大切な土台になるのではないでしょうか。

歓待することは、自分の心を開くこと

歓待というと、相手を受け入れることばかりに目が向きます。

しかし、私は、そこには自分自身の心を開くという意味もあるように思います。

初めて会う人に対して、私たちは少なからず緊張します。相手にどう思われるだろう。話が合わなかったらどうしよう。気まずい時間になったら困る。自分のことをどう評価されるだろう。

婚活のお見合いでは、特にそうした気持ちが強くなるかもしれません。

けれども、相手も同じように緊張しているかもしれないのです。

自分が相手を評価するように、相手も自分を評価している。そう考えると、どうしても身構えてしまいます。

そこで、少し視点を変えてみます。

今日は、自分が選ばれるかどうかを確認するためだけの時間ではない。まだ知らない一人の人と出会い、その人の話を聞き、自分の知らない世界に触れる時間なのだ。

そう思ってみると、少し肩の力が抜けるのではないでしょうか。

相手の話をよく聞く。自分のことも、飾りすぎずに伝える。分からないことがあれば、素直に尋ねてみる。相手の考えが自分と違っていても、すぐに否定せず、「そういう考え方もあるのですね」と受け止めてみる。

それだけでも、お見合いの時間は変わってくると思います。

もちろん、初対面で何でも話す必要はありません。相手に合わせすぎる必要もありません。自分が不快に感じることや、安心・安全に関わることについては、きちんと距離を取ることが大切です。

歓待することは、無条件に相手を受け入れることではありません。

自分を大切にしながら、相手も一人の人間として尊重すること。その両方を忘れないことだと思います。

出会いは、思いがけないところからやってくる

人生を振り返ってみると、最初から出会うことを予定していたわけではない人が、その後の人生に大きな影響を与えてくれた、という経験はないでしょうか。

たまたま隣り合わせた人。仕事で知り合った人。友人に紹介された人。旅先で出会った人。何気ない会話から、長い付き合いが始まった人。

そのときには、まさか後々まで続く関係になるとは思っていなかったかもしれません。

人との出会いは、自分が計画したとおりに訪れるとは限りません。

だからこそ、知らない人との出会いに、少し心を開いておくことが大切なのだと思います。

婚活も同じです。

自分が思い描いていた理想像とは少し違う方が現れることもあります。最初の印象だけでは分からない魅力を持った方もいます。

その方と結婚するかどうかは、もちろん別の話です。会ってみた結果、やはり違うと感じることもあるでしょう。

それでも、会ってみたからこそ分かったことがあります。話してみたからこそ、自分が大切にしたいことに気づく場合もあります。

出会いは、必ずしも結婚という結果だけで価値が決まるものではありません。

人と出会い、自分とは違う考えに触れ、自分自身を知る。その経験もまた、人生を豊かにしてくれるものだと思います。

目の前に現れた人を、客人として迎えてみる

ロレンスの詩に戻りましょう。

蛇は、語り手のところへ水を飲みにやって来ました。語り手は、蛇を恐れながらも、その姿に魅了され、客人のように感じました。

しかし最後には、恐れや常識に動かされて蛇を追い払ってしまいます。そして、その行動を悔やみました。

私たちも、似たようなことをしているのかもしれません。

自分とは違う人を前にすると、まず自分の経験や常識で判断してしまう。よく知る前に距離を置き、相手が持っているかもしれない魅力や、自分の知らない世界に触れる機会を失ってしまう。

もちろん、すべての出会いを歓迎する必要はありません。危険を感じたら離れることも必要です。価値観がどうしても合わない相手とは、無理に関係を続けなくてもよいのです。

ただ、最初から扉を閉じてしまうのではなく、少しだけ開いてみる。

「どんな方なのだろう」
「自分とは違う経験をされてきたのだろうな」
「少し話を聞いてみよう」

そんな気持ちで出会いに向き合ってみる。

それが、歓待することの第一歩なのではないでしょうか。

私たちは、相手を自分の思いどおりに変えることはできません。相手の考え方や生き方を、すべて理解することもできないでしょう。

それでも、目の前にいる人を、まず一人の人間として尊重することはできます。

そして、その出会いを通して、自分の世界も少し広げていくことができます。

人生を豊かにするのは、出会いを迎える心

結婚相談所の仕事を通じて、私は多くの方とお会いしてきました。

皆さん、それぞれに人生があります。育った環境も、仕事も、経験も、考え方も違います。婚活に対する思いも、希望も、不安も、一人ひとり異なります。

だからこそ、最初から決めつけず、その方のお話をよく聞くことを大切にしたいと思っています。

婚活では、条件や希望を整理することも必要です。しかし、それだけでは見えてこないものがあります。

実際に会って話してみる。相手の言葉に耳を傾ける。自分とは異なる考え方にも触れてみる。そうした時間の中で、思いがけないご縁が育つこともあります。

「自分とは違うから合わない」と考える前に、「自分とは違うから、知ってみたい」と思ってみる。

その小さな心の変化が、新しい出会いにつながるかもしれません。

そして、これは婚活だけの話ではありません。

家族や友人、仕事仲間、地域の人々。日々出会う人たちに対しても、少しだけ心を開いてみる。相手の話を聞き、自分とは違う考え方を知り、互いの違いを尊重してみる。

そこには、これまで気づかなかった発見や、思いがけない喜びがあるのではないでしょうか。

D・H・ロレンスの「蛇」という詩は、私たちに、目の前に現れた未知の存在をどう迎えるのか、という問いを投げかけているように思います。

そして、植島啓司さんが取り上げる「歓待すること」という視点は、人と人との関係を、もう少し広く、温かく捉え直すきっかけを与えてくれます。

知らない人との出会いを、ただ警戒するだけでなく、そこに何か新しいものがあるかもしれないと考えてみる。

違いを恐れるだけでなく、その違いから学んでみる。

自分の世界に閉じこもるのではなく、訪れてきた人を、まずは客人として迎えてみる。

人生は、まだ出会っていない人や、まだ知らない世界に満ちています。

これからも、目の前に訪れる一つひとつのご縁を大切にしながら、誠実に、楽しく歩いていきたいと思います。

結婚相談所パートナーは、これからも「婚活と人生の伴走者」として、皆さんの出会いを応援してまいります。

もしかしたら、次に訪れるご縁は、今まで自分が想像していたものとは少し違うかもしれません。

そんなときこそ、ほんの少し心の扉を開いてみませんか。

未知の出会いを歓待する。そこから、新しい人生の景色が始まるかもしれません。