パートナー代表の高橋俊哉です。6月に入り、今年も折り返し地点が少しずつ見えてきました。今日3日は台風影響で皆さまも大変だったのではないでしょうか。昨夜からかなりの雨・風となり、今日も午前中はその状態が続いておりました。カウンセラー高橋は、本来お休みの水曜日ですが、所属連盟のオンライン定例会あり出社しておりました。電車は予想以上に乱れていて開始時間に少し遅れてしまいました。これからは夏を思わせるような陽気になったかと思えば、梅雨もありますね。皆さま、どうぞご自愛されてお過ごしください。

さて今日は、仏教の中でも少し難解でありながら、人生や婚活を考えるうえで非常に示唆に富む「唯識(ゆいしき)」という思想についてお話ししてみたいと思います。(やや無謀な取り組みであることを先に申し上げておきます。(笑)) 唯識という言葉を聞いたことがある方は少ないかもしれません。しかし、その考え方は現代人の悩みに驚くほど深く関係しています。

唯識を一言で表現するなら、「私たちは現実そのものを見ているのではなく、自分の心を通して見た世界を生きている」という思想です。少し不思議な話に聞こえるかもしれません。しかし考えてみると、同じ出来事が起きても、人によって受け取り方はまったく違います。ある人は失敗を経験しても、「勉強になった」と考える。別の人は同じ失敗を、「自分はダメな人間だ」と受け取る。出来事は同じです。しかし人生の感じ方は大きく変わります。唯識では、人の心の奥には過去の経験や記憶が蓄積されており、それがフィルターとなって世界を見せていると考えます。

婚活でも同じことが起きています。例えば、お見合い後に交際に進めなかったとします。ある人は、「ご縁がなかっただけ」と受け止めます。ある人は、「自分が否定された」と感じます。ある人は、「次は何を改善しよう」と考えます。出来事そのものよりも、それをどう解釈するかによって、心の状態は大きく変わるのです。

唯識は、この「解釈の仕組み」に注目した思想だと言えるでしょう。私たちは普段、自分が見ている世界が客観的な現実だと思っています。しかし実際には、過去の経験や記憶、思い込み、価値観を通して世界を見ています。例えば、過去に何度も傷ついた経験がある人は、人の言葉に敏感になります。逆に、多くの人に支えられてきた人は、人を信頼しやすくなります。

つまり同じ現実の中にいても、それぞれが見ている世界は少しずつ違うのです。婚活相談でもよくあります。

「自分なんか相手にされないと思う」、「どうせまた断られる」、「自分に合う良い人なんていない」、こうした言葉を耳にすることがあります。もちろん、その方なりの経験があってそう感じているのでしょう。しかし唯識の視点から見ると、それは必ずしも現実そのものではありません。過去の経験から作られた“世界の見え方”かもしれないのです。

ここで希望が生まれます。もし見え方が変わるなら、人生も変わる可能性があるからです。唯識では、人の心には過去の経験や行動の積み重ねが蓄えられていると考えます。そしてその蓄積が、未来のものの見方や感じ方に影響を与えると説きます。言い換えれば、今日の思考や行動が、未来の自分の心を作っているのです。これは非常に重要なポイントです。

私たちは結果ばかりに目を向けがちです。良い出会いがあったか、結婚できたか、仕事で成功したか。しかし唯識は、「結果の前に、どのような心を育てているか」を重視します。感謝を繰り返せば、感謝を見つけやすい心が育つ心は使った方向に育っていくものなのです。人の良いところを見る習慣を続ければ、人を信頼しやすい心が育つ。

反対に、不満ばかり探していると、不満を見つける心が強くなる。これは最近お話しした感謝のテーマとも重なります。感謝日記を書く人が増えているのも、単なる気休めではありません。感謝する出来事を探すことで、心の向く方向が少しずつ変わるからです。

婚活でも同じです。「断られた」という事実だけを見るのか。「一歩経験を積めた」と見るのか。「自分には価値がない」と考えるのか。「もっと自分を知る機会になった」と考えるのか。その積み重ねが、未来のご縁に影響していきます。

また唯識は、「相手を変えるより、自分の見方を見直すこと」の大切さも教えてくれます。私たちはつい、相手が悪い。、環境が悪い、運が悪い、と思ってしまいがちです。もちろん現実にはさまざまな事情があります。しかし、自分の心の癖に気づかないままでは、場所や相手が変わっても同じ苦しみを繰り返してしまうことがあります。

婚活でいつも同じような失敗を繰り返す。職場で似たような人間関係に悩む。人生で同じ壁にぶつかる。そうしたとき、唯識は「外側だけでなく、自分自身の心の見方にも目を向けてみてはどうか」と問いかけます。

もちろんこれは、自分を責めることではありません。むしろ逆です。唯識は、人間は誰でも思い込みや偏りを持っていると考えます。

だからこそ、自分を責めるのではなく、少しずつ気づいていくことが大切なのです。婚活でも人生でも、私たちは完璧にはなれません。

不安もあります。迷いもあります。傷つくこともあります。

しかし、そのたびに「自分は何を見ているのだろう」「どんな思い込みがあるのだろう」と振り返ることができれば、人生は少しずつ自由になっていきます。

私は面談を通じて、多くの方が変わっていく姿を見てきました。

劇的な変化ではありません。少しずつ考え方が柔らかくなり、少しずつ人との向き合い方が変わり、その結果としてご縁に恵まれていく。その過程は、まさに唯識が語る「心が世界を作る」ということなのかもしれません。会員さんが、成長されてるな、人格をみがいていらっしゃるな、と感じるのはそんな時なのです。

人生も婚活も、まずは現実を変えようと頑張ります。それも大切です。

しかし同時に、「自分はどんな心で世界を見ているのだろう」と振り返る時間も持ってみてください。

見ている世界が変わると、同じ現実でも感じ方が変わります。

感じ方が変わると、行動が変わります。

行動が変わると、人生の流れも変わっていきます。

唯識は難しい理論として語られることが多いのですが、その根底にあるのはとても実践的な教えです。

人生を変えるために、まず心の見方を見つめてみる。

それが唯識の教える第一歩なのではないでしょうか。

人生も婚活も、最後は「どんな世界を見て生きるか」に行き着くのかもしれません。

見る世界を変えるために、まず世界を見る自分の心を見つめてみる。

唯識とは、そのための実践の学問なのかもしれません。