パートナー代表の高橋俊哉です。4月も中旬に差しかかり、春の空気が少しずつ落ち着きを見せ始めております。新年度の慌ただしさの中で、生活環境や人間関係に変化があった方も多いのではないでしょうか。季節の変わり目というのは、外の景色だけでなく、私たちの心の動きにも少なからず影響を与えるものです。こういう時期は、何となく気持ちが落ち着かなかったり、理由もなく不安を感じたりすることがあります。今日はそんな「心」について、そして私たちがなぜ苦しみ、どうすれば少し穏やかに生きられるのかということについてお話ししてみたいと思います。
私たちは日々、さまざまな悩みを抱えながら生きています。仕事のこと、家族のこと、人間関係のこと、将来への不安。そして婚活をしている方であれば、「自分は選ばれるのだろうか」「この先本当に良いご縁に恵まれるのだろうか」といった思いを抱くことも少なくないでしょう。しかし、よく考えてみると、私たちを苦しめているものは、本当に“出来事そのもの”なのでしょうか。ある脳科学の研究では、人間の苦しみの多くは、実際に起きた出来事そのものではなく、「その出来事をどう解釈したか」によって生まれているとされています。つまり、現実そのものよりも、“頭の中でどう意味づけしたか”によって、苦しみの大きさが決まっているということです。たとえば誰かに少し冷たい態度を取られたとします。それだけなら単なる一つの出来事です。しかしそこに、「嫌われたのではないか」「自分に問題があるのではないか」「もう関係が壊れたのではないか」といった考えを重ねた瞬間、その出来事は大きな不安へと変わっていきます。婚活でも同じです。お見合い後に交際につながらなかったとき、「今回はご縁がなかった」というだけの話かもしれません。しかし私たちはそこに、「自分には魅力がないのではないか」「年齢のせいではないか」「もう無理かもしれない」と意味づけを始めてしまう。その瞬間に、ただの出来事が“苦しみ”へと変わっていきます。つまり、私たちが苦しんでいるのは、現実よりも“頭の中で作り上げた物語”であることが非常に多いのです。
ある脳科学者は、人間の脳には大きく分けて二つの働きがあると説きました。一つは論理や分析、比較、評価を行う働き。もう一つは感覚、直感、共感、全体性を感じ取る働きです。前者は非常に便利です。私たちが社会生活を送る上で必要不可欠な機能です。しかしこの“考える脳”が強く働きすぎると、人は苦しくなります。なぜならこの脳は常に比較するからです。「自分は人より劣っていないか」「失敗していないか」「評価されているか」「将来は大丈夫か」。この比較と評価が止まらなくなると、心は休まる暇がありません。そして現代人の多くは、この“考える脳”を使いすぎているとも言われています。常に何かを考え、分析し、先を読み、不安を予測し続けている。便利な反面、それが心を疲弊させる原因にもなっているのです。さらに興味深いのは、人間の感情というものは、本来それほど長く続かないということです。怒りや悲しみ、不安などの感情反応は、身体の仕組みとしては数十秒から90秒ほどで自然に収まるとも言われています。ではなぜ私たちは、何時間も何日も悩み続けるのでしょうか。それは、感情そのものが続いているのではなく、“その感情について考え続けている”からです。怒りが湧いたあと、「なぜあんなことを言われたのか」「許せない」「また同じことが起きたらどうしよう」と考え続けることで、感情が何度も再生されているのです。不安も同じです。「この先どうなるのだろう」「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったらどうしよう」と頭の中で未来を繰り返し想像することで、不安は膨らみ続けます。つまり、苦しみを長引かせているのは“出来事”ではなく、“思考の反復”なのです。
では、どうすればよいのでしょうか。大切なのはまず、「今、自分は考えすぎているな」と気づくことです。不安になってはいけない、ネガティブになってはいけないと自分を責める必要はありません。ただ、「今、自分は頭の中で物語を作っているな」と認識するだけでよいのです。その“気づき”だけで、思考と少し距離が取れるようになります。そして次に大切なのは、“今この瞬間”に戻ることです。呼吸に意識を向ける。外の空気を感じる。食事を味わう。目の前の人の話を丁寧に聴く。そうしたシンプルな行為によって、頭の中の世界から現実へと意識を戻すことができます。
人生の苦しみの多くは、「過去」と「未来」にあります。過去を悔やみ、未来を恐れる。しかし実際に私たちが生きているのは、“今”しかありません。過去は記憶の中にあり、未来は想像の中にあります。つまり私たちは、存在しない時間に苦しんでいることが非常に多いのです。婚活でも、過去の失敗を引きずったり、未来への焦りに飲まれたりしてしまう方がいます。しかし大切なのは、「次の一回のお見合い」「今日の一つの会話」「今目の前にいる相手」に丁寧に向き合うことです。先の結果ばかり考えていると、今のご縁を見失ってしまいます。そしてもう一つ大切なのは、“すべてをコントロールしようとしないこと”です。私たちはつい、人生を思い通りに進めたくなります。失敗したくない、傷つきたくない、最短で結果を出したい。そう思うのは自然なことです。しかし人生もご縁も、自分だけで動かせるものではありません。相手の気持ちも、タイミングも、環境も、すべてが複雑に絡み合って成り立っています。だからこそ、自分にできることをしたら、あとはある程度流れに委ねることも必要です。力みすぎると、かえって流れは悪くなります。婚活でも、「この人でなければ」「この時期までに結婚しなければ」と強く握りしめすぎると、心に余裕がなくなり、本来の魅力が出にくくなります。少し肩の力を抜き、自然体で向き合える人のほうが、結果として良いご縁に恵まれることは少なくありません。
人生も婚活も、“考えすぎ”によって苦しくなることがあります。もちろん考えること自体は悪いことではありません。しかし、考えすぎて今を見失い、自分を苦しめてしまうのであれば、一度立ち止まることも必要です。思考は便利な道具ですが、使われてしまってはいけません。大切なのは、“考える”ことと“感じる”ことのバランスです。頭で未来ばかり追いかけるのではなく、今この瞬間を感じること。過去や未来に囚われるのではなく、今目の前にあるご縁や時間を大切にすること。その積み重ねが、人生を少しずつ穏やかに整えていきます。幸せとは、大きな成功や完璧な条件の先にあるものではないのかもしれません。むしろ、「今ここ」に静かに在るものなのだと思います。
心を忙しくしすぎず、考えすぎず、今この瞬間に戻ること。その先に、人生も婚活も、少しずつ自然な流れが生まれていくのではないでしょうか。










